子どもの学習をサポートする方法として、集団指導の塾や個別指導塾と並んで「家庭教師」という選択肢がある。学校の授業についていけるか心配、部活動で忙しくて決まった時間に通うのが難しい、受験に向けて苦手科目をなんとかしたい——そうした悩みを持つご家庭も少なくないだろう。
本ガイドでは、家庭教師というサービスについて、その特徴や活用方法を整理してみる。まず家庭教師が選ばれる背景に触れ、次に指導の種類や学年ごとの活かし方、家庭教師を探す方法や選ぶ際のポイントを紹介する。さらに、家庭でできるサポートや指導を提供する機関の例にも触れ、最後に、よくある質問にお答えする形で締めくくる。この情報が、お子様の学習環境を考える材料になれば幸いだ。
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家庭教師という選択肢が注目される背景
教育業界の調査によると、個別指導や家庭教師を含む私教育の市場は世界的に拡大傾向にある。特にアジア太平洋地域の市場規模は大きく、学業面での競争や保護者の教育への関心の高まりが背景にあると言われている。
集団指導の塾では、どうしても授業の進度が全体に合わせられる。理解が追いつかない生徒はそのまま置いていかれることもある。一方、家庭教師はマンツーマンでの指導が基本となる。生徒の理解度やペースに合わせて進められるため、「わからないまま先に進む」という状況を避けやすいという特徴がある。
また、家庭教師には自宅で指導を受けられるという利点もある。通塾の必要がないため、時間の有効活用につながる。部活動や習い事で忙しい子どもにとっても、負担が少ない方法と言えるかもしれない。
家庭教師の種類とそれぞれの特徴
家庭教師と一口に言っても、依頼の仕方によっていくつかの種類がある。
家庭教師センターに依頼する場合、センターが講師を紹介し、指導内容やトラブル対応もセンターが仲介する仕組みになっている。講師が合わなかった場合の交代手続きなどはセンターが対応するため、保護者の手間は少なくて済むとされている。また、複数の講師の中から選べる場合が多く、条件に合った人材を紹介してもらいやすいという利点もある。
一方、知人や紹介を通じて個人契約で直接依頼する方法もある。この場合、センターを介さない分、自由度が高いと言える。ただし、契約やトラブル対応はすべて自己責任となる。急に指導に来なくなった場合の対応なども含めて、保護者側の負担が増えることは想定しておいたほうがいい。
最近では、マッチングサイトを活用する方法も増えている。条件に合う講師をオンラインで検索できるサービスで、家庭教師を希望する保護者が直接講師を探せる仕組みだ。指導科目や地域、指導可能な曜日などで検索できるため、選択肢は広がる。ただし、個人契約と同じく、指導力の見極めは自分で行う必要がある。
学年や目的に応じた活かし方
家庭教師の指導内容は、生徒の学年や目的によって変わってくる。
小学生の場合、低学年であれば学習習慣を身につけることが目的になることが多い。学校の宿題を一緒にやったり、算数の基礎を定着させたりする段階では、学生講師でも十分な場合もある。一方、中学受験を視野に入れる場合は事情が変わってくる。塾のカリキュラムを理解し、志望校の出題傾向を分析できる専門性の高い講師が必要になることもある。
中学生になると、定期テスト対策と高校受験対策が中心になる。学校の授業補習が目的なら、その学校のOB・OGなど、地域の事情に詳しい講師が頼りになることもある。高校受験を見据えるなら、内申点対策と入試対策の両方をバランスよく指導できるかどうかがポイントになる。
高校生の場合は、大学受験対策が主な目的となる。志望校の入試傾向に合わせた指導や、苦手科目の克服が求められる。特に難関大学を目指す場合は、専門性の高い講師が必要になることもある。文系・理系の別や、受験科目の組み合わせにも対応できるかを確認する必要がある。
家庭教師を探す方法
家庭教師を探す方法としては、大きく分けて三つの方法がある。
一つ目は家庭教師センターを利用する方法だ。全国展開している大手センターから地域密着型のセンターまでさまざまで、センターによって特徴が異なる。無料の体験指導を実施している場合も多いので、複数のセンターで話を聞いてみるとよい。
二つ目はマッチングサイトを活用する方法だ。インターネット上のマッチングサービスを使えば、指導科目や希望条件、地域などで検索して自分で講師を探すことができる。講師のプロフィールや口コミを参考にでき、実際に指導を受ける前にメッセージのやり取りができるサービスもある。
三つ目は知人や学校の紹介を頼る方法だ。近所の大学生や卒業生の紹介など、身近なつながりから探すこともできる。直接の知り合いであれば人柄もわかるため安心感があるが、指導力については実際に指導を受けてみないとわからない部分もある。
家庭教師を選ぶ際のポイント
家庭教師を選ぶ際には、まず体験指導を活用することが有効だ。実際に指導を受けてみることで、説明がわかりやすいか、生徒の質問に丁寧に答えてくれるか、一方的な説明になっていないかといった点を確認できる。
子どもとの相性も重要な要素だ。子どもがリラックスして指導を受けられているか、緊張しすぎていないか、子どもから質問しやすい雰囲気かどうかを見極める必要がある。いくら指導力が高くても、子どもが苦手意識を持ってしまっては続けるのが難しくなる。
指導計画の妥当性も確認したい。目標に合わせた指導計画を提案してくれるか、定期的な学習状況の報告はあるか、学校の進度や試験日程を考慮した指導ができそうかといった点をチェックするとよい。
また、指導を受ける前には、指導可能な曜日や時間帯、急な日程変更への対応、長期休暇中の指導の有無、教材は指定されるのか手持ちの教材を使えるのかといった実務的な点も確認しておくと安心だ。
家庭でできるサポート
家庭教師に任せきりにするのではなく、ご家庭での関わり方も学習効果に影響する要素の一つだ。
指導前には学習する場所の環境を整えることが大切だ。教材や筆記用具がすぐ使える状態にあるか、テレビやゲームなど気が散るものがないかを確認するとよい。
指導後には「今日はどんなことを勉強したの?」と軽く声をかけることで、子どもが学習内容を振り返るきっかけになることもある。無理に詮索する必要はないが、関心を示すだけでも子どもにとっては励みになることがある。
特に自分で計画を立てるのが苦手な子どもの場合、指導日までの課題や学習予定を一緒に確認するのも一案だ。ただし、あまり細かく管理しすぎると子どもの自立を妨げることにもなりかねないので、バランスが難しいところだ。
家庭教師との連絡やスケジュール調整も保護者の役割となる。特に個人契約の場合は、指導日時の変更や急な対応が必要になることも想定しておいたほうがいい。
指導を提供する機関の例
ここでは、家庭教師サービスを提供している機関の例をいくつか紹介する。あくまで参考情報として捉えていただきたい。
個別指導塾として知られる明光義塾を運営する会社は、家庭教師派遣事業も行っている。プロ講師による指導を特徴としており、全国に拠点があるため地域を問わず利用しやすいと言われている。
完全個別指導の塾として首都圏に教室を展開するTOMASを運営する会社も、家庭教師派遣事業「明光会」を全国主要都市に展開している。プロ講師による指導を特徴としており、医学部受験に特化したブランドも展開している。難関校受験を目指す場合には選択肢の一つになるかもしれない。
不登校や中退者を含む、多様な背景を持つ生徒を対象としたキズキ共育塾もある。オンラインでの指導も行っており、生徒のペースに合わせた指導を重視している。通常の学習塾では対応が難しいケースでも、柔軟な指導が期待できる場合がある。
これらの例は日本国内で展開されているサービスの一部であり、それぞれに特徴や指導形式、対象地域、得意とする分野が異なる。
よくある質問
Q: 集団指導の塾と家庭教師では、どちらが効果的?
A: 一概に比較はできない。集団指導には周囲と競争しながら学べる環境や体系的なカリキュラムといった利点がある。家庭教師は自分のペースで学びたい、苦手分野を重点的に克服したいといったニーズに応えやすい。お子様の性格や学習スタイル、目標に照らし合わせて検討することが望ましい。
Q: 学生講師とプロ講師ではどちらがいい?
A: 目的や学年によって異なる。学習習慣の定着や学校の補習が目的であれば、学生講師でも十分な場合が多い。年齢が近い分、親しみやすさを感じる子どももいる。一方、受験対策や専門的な指導が必要な場合は、経験豊富なプロ講師のほうが適していることもある。指導の目的に応じて選ぶとよい。
Q: オンライン家庭教師は対面と比べてどう?
A: 研究によると、オンライン学習の効果は授業の設計や学習者の特性によって異なる部分が大きいと言われている。対面にはその場でのコミュニケーションのしやすさがあり、オンラインには場所を選ばない柔軟性がある。どちらが良いかは、お子様の学習スタイルや家庭の事情による部分が大きい。最近は対面とオンラインを組み合わせたサービスも増えている。
データソース
- https://www.gii.co.jp/report/imarc1801173-private-tutoring-market-size-share-trends-forecast.html
- https://teacher-life.jp/690.html
- https://www.moomooapp.com/news/post/46343176/resource-education-research-memo-3-various-education-service-businesses-are
- https://www.mext.go.jp/content/20210623-mxt_syoto01-100013299_001.pdf
- https://www.oecd.org/en/publications/the-impact-of-digital-technologies-on-students-learning_9997e7b3-en.htm