家づくりを考え始めたとき、既存の住宅を購入するのではなく、土地から自分好みの家を建てたいと考えることがあるかもしれません。この「一から計画する家づくり」の代表的な方法が「注文住宅」です。これは、お客様が土地を取得し、ハウスメーカーや工務店と協力して、間取りやデザイン、使用する材料など細部に至るまで計画し、建設する仕組みを指します。
この記事では、注文住宅について基本的な知識を得たい方や、検討を始めたばかりの方に向けて、その特徴や計画の流れを解説します。具体的には、注文住宅とは何か、どのような土地が対象となるのか、既成品の住宅(建売住宅など)ではなく注文住宅を選ぶ理由、計画が検討される主なシーン、本格的な検討を始める前に整理したいこと、そして土地探しから完成までの一般的な流れについて順を追って説明します。最後に、注文住宅に関するよくある質問をまとめています。家づくりの一つの選択肢として、その全体像を理解する参考となれば幸いです。
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1. 注文住宅とは:基本的な特徴と仕組み
注文住宅とは、お客様が自身で土地(敷地)を用意し、建築会社(ハウスメーカー、工務店、建築設計事務所など)と契約を結び、その土地とご家族のライフスタイル、希望、予算に合わせて、間取り、外観デザイン、設備、内装仕様などを独自に計画し、新築で建築する住宅のことです。最大の特徴は、標準的なプランに沿うのではなく、個別の要望を設計に反映できる「カスタマイズ性」にあります。一方で、建売住宅などに比べ、計画から完成までに必要な時間や、設計・打ち合わせにかかる手間は一般的に多くなると言えます。
2. 注文住宅を建てる上での「土地」の重要性
注文住宅は「土地」ありきの住宅建設です。適切な土地選びが、その後の設計可能性や居住性、資産価値に大きく影響します。検討する際には、以下のような点が確認事項として挙げられます。
- 法律的・規制上の条件:都市計画法に基づく「用途地域」(住宅専用地域、商業地域など)により、建てられる建築物の種類や規模(容積率、建ぺい率)が制限されます。また、「接道義務」として、建築基準法で定められた幅員の道路に一定以上接していることが必要です。
- 土地の物理的状態:地盤の強度は不同沈下などのリスクに関わります。必要に応じて地盤調査が行われます。また、土地の形(方形か不整形か)や高低差、方位(日当たり)も設計や建設費に影響を与える可能性があります。
- 周辺環境:日当たりや風通し、眺望、周囲の建物との関係(プライバシー)、交通の便、教育機関や商業施設への近接性など、長期的な居住快適性を左右する要素です。
3. 建売住宅などではなく注文住宅を選ぶ理由
既に存在する住宅を購入するのではなく、新築で注文住宅を選択する理由としては、次のような点が考えられます。
- ライフスタイルへの最適化:家族構成、働き方、趣味、将来の変化を見据えて、間取りや動線、収納などを自由に設計できる点が大きな魅力です。
- 立地と設計の自由度:自分で選んだ土地に建てるため、希望する地域に住みながら、理想の家を実現できる可能性があります。
- 性能と品質へのこだわり:断熱性能、気密性能、耐震性、省エネルギー設備など、住宅の「基本性能」について、ご自身の基準で仕様を選択し、向上を図ることができます。
4. 注文住宅の計画が検討される主なシーン
注文住宅の建設が具体的に検討され始めるシーンとしては、以下のような例が挙げられます。
- 家族構成の変化を見越した新居探し:結婚、出産、子どもの成長、同居など、家族の変化に合わせた新しい住まいが必要になる時。
- 土地を相続または取得した時:ご自身で土地を所有することになり、その有効活用として自宅建設を考える場合。
- 現在の住まいへの不満解消:既存住宅の間取りや性能、立地などに不満があり、根本的に改善したいと考える時。
- 将来的な安定居住を見据えた計画退職後の生活など、長期的に安定して住み続けられる家を、現役時代から計画する場合。
5. 本格的に業者と相談する前に整理したいこと
建築会社への相談を実りあるものにするため、事前にある程度ご自身で情報を整理しておくことが望ましいと言えます。
- 予算の大枠の把握:土地取得費、建築費、諸経費(設計料、登記費用など)を含めた総予算の概算を考えます。建築費の相場を知る一つの資料として、例えば、ある住宅経済調査によれば、2023年の木造注文住宅の平均的な建築単価は地域によって差がありますが、参考値として示されることがあります。
- 土地に関する情報の有無:すでに土地をお持ちか、これから探すのかを明確にします。土地をお持ちの場合は、登記事項証明書や公図、都市計画図など基本情報を揃えましょう。
- 要望(希望)と必要条件のリスト化:間取り(部屋数、LDKの関係)、こだわりたい設備(キッチン、浴室など)、必要な性能(耐震、断熱)、デザインの好みなど、「ぜひ実現したいこと」と「最低限必要なこと」に分けてリストを作成します。
6. 注文住宅が完成するまでの一般的な流れ(一例)
注文住宅が完成するまでには、一般的に次のような段階を経ることが多いです。
- 土地の取得・確認:土地を探し、購入するか、既存の土地の条件を詳細に確認します。
- 建築会社の選定・基本設計:複数の会社から提案を受け、契約する会社を選定します。その後、土地条件と要望を基に基本プラン(間取り、外観のイメージ)を作成します。
- 実施設計・各種申請:基本設計を具体化し、詳細な設計図書を作成します。同時に、建築確認申請を管轄行政庁に行い、法律に適合していることの確認を得ます。
- 工事請負契約・着工:詳細な設計と見積もりに基づき、工事請負契約を結び、実際の建設工事が始まります。
- 工事中の打ち合わせ・現場確認:重要な工程で現場確認を行い、イメージ通りに進んでいるか確認します。
- 完成引渡し・アフターサービス:工事完了後、完成検査を経て引き渡しを受けます。多くの場合、一定期間の保証やアフターサービスが提供されます。
7. よくある質問(FAQ)
Q1: 注文住宅の建築費用は、建売住宅と比べて一般的にどうなりますか?
A: 同じような規模・仕様の場合、注文住宅は設計の独自性や打ち合わせの手間がかかるため、建売住宅(量産型)に比べて費用が高くなる傾向があると言われています。ただし、建売住宅で後からリフォームが必要な部分を最初からカスタマイズできるため、長期的なコストパフォーマンスは別の見方もあります。
Q2: 計画から完成まで、どれくらいの期間がかかりますか?
A: 土地が既にある状態から、計画・設計に3〜6か月、建築工事に4〜8か月程度かかるケースが多いようです。ただし、土地探しから始める場合や、設計の複雑さ、行政の確認期間、資材の調達状況などによって大きく前後する可能性があります。
Q3: ハウスメーカーと工務店、どちらに依頼するのが良いですか?
A: 一概には言えません。ハウスメーカーは規格化された工法と全国的なサポートネットワークを持つ傾向があり、工務店は地域に密着したきめ細かい対応や、自由度の高い設計を得意とする傾向があります。複数の会社から話を聞き、ご自身の要望と会社の相性を見極めることが重要です。
Q4: 建築中の変更は可能ですか?
A: 工事着手前の設計段階であれば、比較的変更はしやすいと言えます。しかし、着工後、特に構造躯体が出来上がってからでは、変更が困難だったり、追加費用が発生したりする可能性が高まります。変更希望はできるだけ早い段階で伝えることが望ましいでしょう。
参考情報源
- https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
- https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000100
- https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338/
- https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001894185.pdf
- https://www.mlit.go.jp/common/001627103.pdf
- https://www.mlit.go.jp/common/001627106.pdf
- https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001474528.pdf
- https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001279.html
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?cycle=7&layout=datalist&month=0&page=1&result_back=1&tclass1val=0&toukei=00600120&tstat=000001016966&year=20240
- https://www.jhf.go.jp/about/research/loan/flat35/2020.html
- https://www.cbr.mlit.go.jp/road/sekkeiyouryou/pdf/cb002_jiban_v201403.pdf
- https://www.jiban.or.jp/?page_id=544
- https://www.juhinkyo.jp/wp-content/uploads/2015/02/chousa_2_sws.pdf
- https://www.logoshome.jp/blog/house-knowledge/buy-house-period/
- https://nakajitsu.com/column/73186p/
- https://www.hajime-kensetsu.co.jp/customhouse/column/building-coverage-ratio-floor-area-ratio/